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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~

fuma


俺の腕をつかむ強い力に、こいつの気持ちを感じて、自分がやらかしたことに、またもや胸が苦しくなった。



よかれと思ったんだ。

男同士ってのは、世間の風当たりは強い。
将来、親に孫の顔もみせられない。

健人は、ちゃらけてるようで、真面目なやつだから、そういうことに耐えれるだろうか。

俺はあいつの邪魔でしかないんじゃ…。

そう考え出したら、ドツボにはまり、もう離れることしか最善策が思い浮かばなかった。



なのに、勝手なもので。

学園祭で、なんだかわけわからない王子様コンテストみたいなのに、担ぎ出されそうになってるあいつを見たら、もやもやと嫉妬の焔が心に広がった。


あいつは、俺のもんだ!って。
誰も見るな、触るな!って。


……気がついたら、その場から連れ出していた。




「なあ……なにか飲みに行こうか」

「うん。」



優しく囁くと、健人はようやく少し笑って顔をあげた。
色っぽい顔をすることもあれば、こうやって子供のような表情をすることもあって。

くるくる変わる表情は、見てて楽しい。


ひとつ教えてやるよ。

このタバコを選んだ理由は、おまえが好む銘柄だと分かってたから。
おまえを感じたかったから。
だから、なんだぞ……。


地面におとした吸殻を、携帯灰皿につっこみながら、そう教えてやったら、健人は、目を丸くして。

そして、


「よかったぁ……」


と、笑った。




「お前だけだよ」

「ん?」

「俺にはお前だけだ」

「……風磨」


健人は、大きな瞳を細めて、微笑んだ。





誓うよ、健人。

健人の笑顔を、守るためなら、なんでもするよ、俺は。

もう離れない。


fin.

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