テキストサイズ

影に抱かれて

第10章 蜜事

男の様子を見ると、衣服を身に着けたままのその男の背は高く……鳶色の髪は長めに伸ばされている。

白いシャツの上に、伯爵がよく着ていたようなベストを着ているところから、一瞬そこに伯爵が立っているのかと思ったが、それは間違いなく……

女に奉仕をさせているジュールだった。

その右手には鎖が握られていて、それを引くと女の腕がキリキリと持ち上がり、あの声が大きくなる。

緩めたり、引いたり……ジュールはその動きを楽しんでいるかのようだった。

ジュールが自分以外の人間に、それも女性に、自分にしてくれていたのと同じ行為をさせている。

リュヌはジュールにあのようなことはしたことが無かった。いつもジュールは服を着たまで、リュヌに一方的にあの儀式を施していたのに。

リュヌは打ちのめされていた。

自分は、以前女性の裸体を見た時も何も感じなかった。ただ、ジュールへの深い愛に気が付いただけだ。

自分は女性を愛することが出来ない……いや、きっとジュール以外は愛することが出来ないのだ。

なのに、ジュールは……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ