テキストサイズ

影に抱かれて

第13章 再生

「おめ……でとうございます……」

俯いたままのリュヌがジュールの足元に跪くと、ジュールの冷たい声が響く。

「リュヌ……出て行ってくれないか。僕は母上と大切な話がある」

リュヌがジュールにそれほど冷たい声を掛けられるのは初めてだった。驚いたリュヌが見上げると、ジュールの瞳は燃えたままで、その熱さと冷たさのアンバランスに不安はさらに募る。

しかしジュールの言うことは絶対だ。
夫人に対して、怒りを押し殺したような言葉を掛けるジュールの声を聞きながら、リュヌは部屋を後にしていた。

「リュヌを勝手に呼び戻しておいて……その目的を果たしたら、もう用済みだということかな。母上がどういう人なのか、今度という今度はよく分かったよ。間違ったことは……僕が許さない」




ストーリーメニュー

TOPTOPへ