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sugar-holic2

第6章 想いの深さ

「亮くん、カット上手くなったね」

グラスに添えられたオレンジを見ながら褒めると、途端に亮くんの笑みの質が変わった。

「え、そう?」

営業スマイルから、彼本来の笑みに変わる。

初めてこの店に来たときから、ずっと練習してるもんね。

「普通に切っただけだと思ったら、オレンジの皮の切り方、すごい細かいし」

オレンジの皮を細く剥いて、グラスを縁取るように引っ掛けてる部分を指で差すと

「このくるんってしてるの、可愛い」

私の感想に、亮くんが照れたような笑いを浮かべて

「そういう所に気付く梢ちゃんも可愛い」

そう言ってウインクをしてみせた。

「またそういう…」

軽い男みたいな真似するんだから。

どこまでが本気なのか分からない。

苦笑いを浮かべると、亮くんが首を傾けて

「そんな可愛い梢ちゃんなのに、何でデートしないの?」

直球で鋭い質問を飛ばしてきた。

「ん?」

狼狽えてるのを見抜かれないように、私も首を傾けて問いかけた。

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