テキストサイズ

ビタミン剤

第9章 金色の雨



少し早く到着したから
このまま車で待っておくことにした
邪魔になんないように、スタジオの
駐車場に停めてメールしとこうかな


いや、焦らせちゃまずいか
翔ちゃんは仕事終わったら速攻で
メールしてくれるし、
押しつけがましくならないように
待っておこうかな

フロントガラス越しに見上げると
秋の気配の空
すこし窓を開けてると、あまい香りが
ふんわりと鼻腔をくすぐってくる


翔ちゃんの爽やかなあまい香りとは
また違ってる
とってもやさしい香り

かるく目を閉じてあまい香りを楽しん
でたつもりが、
ついつい眠り込んじゃったみたいで
気がついたら外は雨


フロントガラスにおちる雨粒
倒してたシートを慌てて戻して携帯を
見ると、
翔ちゃんからの着信があった


うわ、待たせちゃってる

やっばいっ!

携帯を鳴らすと翔ちゃんのやさしい声


「お疲れ様、お迎えありがと。今どこ?」

「ごめんね、翔ちゃん
はやく来てたのに、俺つい駐車場で
居眠りしちゃってた」

「そんなの仕方ないよ
雅紀も疲れてんだからさ
すぐ行くから、ちょっと待ってて」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ