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ビタミン剤

第30章 ムテキのヒーロー


どうにか、自分の進むべき方向性を
見出せたと思った頃に、彼に出逢った。

陽だまりのような彼は何時でも
素のままで、取り繕うとかの真似事もしなくて
格好良く見せようともしない。
飄々としてる癖に誰よりも頼り甲斐のある人。

心から尊敬できる人だった。

魅了されて、惹かれて自分でも
これは恋心かもって思いだした時に
智くんのほうから
付き合いってほしいって告白してくれた。



すごくうれしかった。

同性同士の恋の始まりに
戸惑ってばかりの俺と足並みを揃えながら
ゆっくりと愛を育んでくれてた。


最近、心と身体が均衡を失ってきてた

それに気がつこうとしない俺の代わりに
精神と肉体の狭間で悲鳴を挙げはじめてる。


もっとこの人と
絆を結びつけたい
もっと深く、強く、固く結ばれたい


まだ智くんと俺は
気持ちで結ばれてるだけで
本当の意味の恋人になりきれてなかった。




身も心も結ばれたい
そんな想いに身体が本能で先に求め出してた。


だけど

自分の想いのまま慾望のまま突き進んでイイの?
嵐は?
櫻井家は?
俺たちの未来は?


どうなってしまうの?


躊躇する想いは
不安という言葉に回路を繋いで
本能のままに動きたいって願いを素早く
遮断してしまう。


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