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第9章 悪夢の実像

オレは

〃アイルのいた形跡〃

だけが残る河原を

ひたすら探し回った。





夏の日差しのピーク時間
じんわりと汗ばんでくる。





絶対どこかにいるはずだ



どこだ?アイル


倒れているんじゃないのか?






まさか・・・川に・・・





良くない可能性ばかりが浮かんでくる



そして最悪の予感さえしてきて…



川沿いを見に走ってみる






川沿いを伝うと端の木の陰に停まった
黒のバンが目に入った




車なんか…

入ってくることあるんだな?

こんなとこに……?







エンジンのかかった車





まさか・・・な。






ほどなくした所に落ちている
ボールやフリスビーを見て…


オレの中の最も最悪といっていいくらいの
事態を想像してしまう。






足が勝手に車に歩み寄っていた。






後ろ向きに停まる車…


後部座席は


カーテンかスモークで中が見えない。







まさか・・・だよな。






言い聞かせながらも

全身におそう不安で
冷や汗まで出てくる

オレは
そっと前方にまわり…中をのぞいた









前方のシート2つの間からわずかに…

それでもくっきりと

オレの目に入ってしまう男と女。





男はちょうど背を向ける形に…
顔は確認出来ない。





イタイ、バカップルの

〃最中〃に遭遇・・・








ゲッ!!?








っと目を反らしそうになったのは



一瞬の・・・一瞬だった。






女は…




身体に顔を埋められて


泣き叫んでいるように見える


その女は…







非情にも……アイルだった。

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