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第1章 舞い降りた君

一言だけ言って
アイはまた向きを変えて去って行った。


少し呆気にとられる。


フシギなキモチに駆られながら
すっかり酔いの覚めきった頭に
色んな事をめぐらせた。


…ツンとしてるわりに
しっかりスジは通すんだな。


気をつけろ…なんて言っちまったけど…
翌々考えれば

あの顔に似合わないシンプルな格好は
それなりに〃気をつけて〃のこと
なんじゃないのか。

だけどミカの言っていた言葉が
ぐるぐると頭をよぎる。


"色があるのに色を出さない"


いつもああなのか?
格好に関してのみ言うなら
あんな可愛い、それも年頃の女の子だ。

おおよその女はオシャレを楽しんだり
もっとはしゃいだり…。

それにさっきのナンパを思えば
彼女に関しては
その効果が見られてないんじゃないのか…。

不覚にも…オレは
あのナンパしたヤツらのキモチだって
わからなくない…とさえ思ってしまった。


…なんてことはとても口には出せないけど。


ワケのわからない自問自答を繰り返しながら
店へと戻った。

〃~ダリぃ…〃

つぶれたワタルを連れて帰んなきゃならない。
ため息つきながら歩く。

不思議な感覚をかき消すように。



~…少なくともオレは…
逢ったことのないタイプの女だったな。


今までみてきた女で
ついこの前別れた元カノも
彼女とは真逆のタイプだった。


変わった女がいるもんだ。


…なんて。
勝手な経験値と価値観で
彼女を勝手に"変な女"にした。



ガキになんて興味ないし
ロリコン呼ばわりされたらたまらない。



…ってなんだよソレ。ヘンだぞオレ…。


調子が狂う。


まぁ…もう会うこともないだろうけど。

そんなこんなで金曜の深夜
オレはようやく帰宅した。

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