テキストサイズ

Best name

第4章 告白

当時のアイルに好意を寄せる男子は
相応にいたが、アイルは特に浮いた話もなく

大好きな動物の勉強を熱心にして
真面目に学生生活を送っていたようだ。

その元彼氏というのはアイルの2コ上の
高校の先輩で事件当時 大学2年。

この男というのが、どうにも評判が悪く
良い噂というのは無いに等しかった

札付きのワル…とは言わないのだが
女癖の悪さで有名だったようだ。

後輩のアイルに目を止め
アイルに猛烈にせまりつづけたとして

アイルがどう折れたのかは不明だが
恐らく動物好きだとでも言って
近づいたのではないか、とのことだ。

『アイルは真面目で健全にしていたと思う
…言ったら"奥手"だ。
そんな女遊びの好きなヤツには…』

ハァー…と、ソウタさんがため息を交えて呟いた。

『……』


もう…やめてくれ。

でも、聞きたい。

いや…聞きたくない。


オレの中で2つの気持ちがめぐる

いいや……聞くべきだオレは。


『あの日…猫を拾ったと言うのは…
アイルを確実に呼び出す為の嘘だと
オレは思っている…。
たった一人で…住宅街からもうんと離れた
…人気のない公園にな…』



やめてくれ…。




『襲われたアイルは…逃れるすべがなくて
やむなしに…』



やめてくれって…。



『ヤツが無事だったのは
ヤツの仲間が救急に通報したからだ
…おそらくは共犯で』

『~~っっ!!』

オレは熱くなった目頭から
溢れるものを抑えきれず
テーブルを叩いて目を覆っていた

『~~っ そんなバカなっ…
じゃあアイルは
無実の罪を被ったってことじゃないですか!!』

『相手に重傷を負わせた事は事実だ…。
でも事実そういうことがあったとしたら
例え相手が命を落としていたとしても
十分に正当防衛は認められただろうなぁ…』


『なんで…?ダレも…警察も…アイルの親も
ソウタさんみたいに
何も疑問に思ったり…
調べたりしなかったんですか!?』


『~…状況証拠でアイルは明らかにクロ…
何より自分で認めていたんだ』


『そんな…。アイルは何も…
何も言わなかったんですか…』

『そうだ…
それを良いことに共犯二人が口を揃えて
〃アイルがキレた〃とでも証言すれば
もう出来上がりだ
クロと見られた上で調べられて
その上 自ら〃自分がやった〃と
言い切ってしまっていたなら…もう』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ