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第5章 呪縛から…解き放て

『~苦しかったんだ…』
『っく…グスッ…ひくっ』

再びアイルの目に涙がたまる

『アイル…オレのために
苦しんでくれたんだ…?』

『…っ…ひくっ』

『もう…苦しまなくて良いから
…自由に生きてくれ…』

『あたしなんかじゃ…
リョウキがかわいそうだよ…っく
私なんか…きっとイヤに』

『アイル~…困った子だな
オレはいなくならない
ずっと〃留まって〃やる…』

『うそよぉ…』

『うそじゃない
オレはアイルに嘘はつかないよ』

『ぅっ…うっ…ぅ~…』

『色んな人の愛情が
アイルの中には留まり続けてるのに
アイルにもわかるだろ?
〃愛留〃…良い名前…
愛留にピッタリの とても良い名前だよ』

『~~~っっ…』

オレはアイルが泣き止むまで
背中をなで続けた
子どもみたいなアイルをあやすように

『ところでアイル?…返事は?』

もう聞かなくても良かったが
わざとイジワルげにアイルに聞く

『ぅ…~~~っっ』

オレの胸にしがみついて顔をうずめて
コクッとアイルがうなずいた
過去の呪縛から…もう解放されてくれと
切に願った

オレは女と…誰かと一緒になるのに
こんなにも強い気持ち…まっさらな気持ち
そして幸せを感じたことがあっただろうか?
答えはきっと『NO』だ
そしてきっと、この先他の誰かに
同じ想いを抱くことなんて
おそらくないだろう

『リョウキ…っく…ひくっ…
本当に…私でいいの?』

『~しつけーな…何度も言わせるな(笑)』

アイルを膝に乗せたままゆっくりとキスをする
オレを拒まないことに
胸の高鳴りと幸せを感じながら
何度も何度もキスをした

『りょうき…』
『ん?…』

『首…いたくないの?りょーき…大きいから』
『ふふっ…アイルが小さいから…だろ?』

『ちがうよ… ふふふっ…』

アイルを抱えてそのままソファに寝かせた
ビクンっ!と…アイルの身体が硬直する

『ごめん…私…っ』
『大丈夫…』

『ごめ…』
『大丈夫…大丈夫、なにもしない
これ以上何もしないから
アイルの嫌なことはしない』

アイルの嫌がることは…したくない

それ以前にオレは胸がいっぱい過ぎて
それ以上の事を望もうとさえ思っていなかった
これ以上望んだら
バチ当たりだとさえ思える…幸福感で
アイルの手を握ってまたキスをおとして
そのまま二人で眠ってしまった
…ようだった

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