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第32章 最高の名前

『おぅアイル、おつかれさん』



いつものように接して
アイルを手招きするソウタさん






『リョウキも~・・・腹へらねぇか?

何か食いにいくかぁ?!なぁっ…♪』




『・・・・・』



トボトボ・・・




力なく歩いて

アイルが

オレとソウタさんの前で足を止める




そして・・・









『ソウタさん…リョウキ…ごめんなさい』





アイルがオレとソウタさんに向けて
深々と頭を下げてきた





『こんなことに…。

二人に…ひどいことを』



悲しい…切ない姿だった



『アイル…どうしたァ?
お前が謝るこたぁ、何もないだろ?』


『……ごめんなさい』



そして顔を上げたアイルは…

もうひとつ

悲しい行動に出る




『アイル…?』




アイルがオレの前に来て

床に座り……手をついた



〃……え?〃






『リョウキ…今日は本当にごめんなさい』



『!?…っアイル

なにやってんだよ!やめろよ!?』





『せっかく
こういう場を…それなのに

私の、おかあ・・・母が
母が…リョウキに…とても失礼なことを

ひどいことを…。ごめんなさい』



『アイル…何のマネだって
やめろったら・・・』





『母に代わってお詫びします
ごめんなさい…』

『アイル!』





『ごめんなさいリョウキ

…ママのこと……許して下さい』




アイルはオレに向けて
手をついて頭を下げてきた



『アイルっ…やめろ!
そんなことする必要がどこにある!?
・・・っやめろって!』


『ごめんなさい…。ママのこと…許して』




どんなに止めても
決して頭を上げないアイル




やめろ・・・やめてくれアイル



どうしてお前が…あの母親のために
頭を下げるんだ?



どうして子が親のために
頭を下げなければならないんだ?



……あんな親のために。




これから幸せになる……そんなアイルが


どうしてこんな悲しいことを
しなければならないんだ…?

どうしてアイルが・・・何のためにアイルは

こんな時にまで…こんな悲しい思いを

しなければならないんだ?


どうしてだよっ・・・





オレは・・・悔しかった




ぶつけようのない怒りに

・・・狂いそうだった

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