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第19章 風

潤「…間違えた」

帰りの電車、降りる駅を間違えてしまった。

暗くなったホームで、
少し大げさにため息をつく。

眠たいけど、向こう側に見えるビルや街灯の、明るすぎる白色光に目が冴えてしまう。




…あーあ。

翔くんと同じ学年ならな。

同じ学年なら、今の季節も一緒に勉強したのに。

一緒に帰れたのに。



風がちょっとだけ冷たくなる。

こんな時こそ居てほしいのに。

後ろから俺のほっぺたにココアの缶当ててよ。

ちょっとおどけて笑ってみせてよ。


感傷的になりたいけど、多すぎる人と、うるさすぎる電車のせいで、すぐ現実に戻ってしまう。














……ねぇ、








翔くんが思ってるほど、
子供じゃないよ。

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