
ある晴れた冬の日に
第3章 約束
淳也side
その晩。
「う、うーん…っ」
俺はひどい汗をかき、うなされていた。
久しぶりに彼女の夢を見ていたからだ。
それは何回見ても色あせることなく、まだ現実であるかのような生々しさがあった…。
病室のベッドで今にも消え入りそうな命を前にし、無力な俺はただ最愛の君の手を握りしめるしかなくて。
ご両親と医師達に囲まれる中、俺は声にならない声をしぼりだし呼びかけるんだ。
すると薄れゆく意識の中、彼女の唇が微かに動いた。
『何?』
俺はその口元に耳を寄せて聞く。
『じゅ、ん…』
『ここだよ』
『ハァ…ハァ…あり…がとう…また…会おう、ね…』
俺は目を見開き彼女を見つめた。
言葉が見つからない。
辛くて。
涙があふれて。
それきり彼女は戻らなかった。
そんな約束など俺には虚しいだけだよ!
だけど
『そうだな…いつか生まれ変わって、また会おう…』
俺は彼女の小指に自分の小指を絡ませ言った。
ーーーー
「…はっ!!?」
俺はガバッと体を起こし、夢である事がわかって安堵した。
だが苦しさに変わりはない。
一体いつまでっ、
いつまで俺はこんな思いを抱えて生きてゆくんだろうか……。
