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いつまでもいつまでも

第1章 夫婦ってさ…

「どっちもどっち?
所詮、水掛論じゃん!
謝っちゃえば楽よ。
女が怒ると怖いよ〜」

会社で仲のいい同僚の田崎に相談すれば、ハイ、キタ!このくだり。
田崎は奥さんと喧嘩すると、すぐ謝るに徹するタイプ。

「いつまでも不機嫌な顔見てる方がストレスだと思うよ?
俺は面倒が嫌いなの」

「それでよく堪えられんな…
男の威厳なんてないじゃん」

「伊野尾(靖幸)さ…
結婚したらね、我慢はつきもんさ。
女房が機嫌良く居てくれたら、安泰よ?
俺もそれに気づくまで時間は掛かった。
こうして、仕事終わりに珈琲飲みながら、愚痴言えるうちが花よ」

「田崎は結婚して何年だっけ?」

「俺は五年目だ」

「そっか…
二年先輩なわけね」

「伊野尾は三年目?
あーぁ……
そういえば、その頃は良く喧嘩してたな…
うちのかみさん、実家に子供連れて長々と家出したよ。
初めての子育てで気が立っていてな…
寝不足のところに、俺が付き合いを優先して飲みに行ってばかりだったのが気にいらなかったらしい。
ホント些細な事で女は怒るって思ったよ。
でも、お袋に言われたんだ。
『女は子供が授かると、我慢我慢の生活なのに、あんたばっかり羽伸ばしたら、臍も曲げるでしょ。
結婚したからって、女房に我慢させてばかりの男じゃ、愛想尽かされて当然よ』
ってな。
仕方なく、迎えに行って頭下げたよ。
独身の頃のようにはいかないって!
どっちかが折れないと、いつまでも平行線よ?」

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