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密猟界

第3章 嵐吹く刻も─.

 「ここ、教会のなかじゃないですか─だいじょうぶですよ」少し、笑いを含んだチャンミンの言葉に、ユノはようやく強張らせていた身体の力を抜いた。
 「落ち着きました?」チャンミンの声に、ユノは微かに、頷いた。
 チャンミンは聖母が幼な子を、宥めるようにキスをする。─唇を離すとすぐに「ここ来て見て下さい」言葉を、継いだ。 「…この中─が」ユノがチャンミンと肩を寄せ合い、並ぶと「─シャワー室の奥の壁と」話しながら、ゆっくりと先を歩き出すチャンミン。…それに倣うように動くユノ─。「気付いてました? ユノも…シャワー浴びてた時に、僕─」鈍い音がチャンミンのすぐ後ろで、起こった。「─ユノ…!」暗がりに、チャンミンは屈み込む…。
 鏡が粉々に割れるに似た遠雷の響き…微かに岩窟の中にも轟く。







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