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密猟界

第5章 インターリュード

……女の神秘的な切れ長の目尻に、深い皺が幾本もあった。長い髪は銀いろ─老婆─? 体の力が抜けた。(チャンミン)体はふわふわ浮いている。俺の頭を銀の髪を光らせた女が、口元に皺を寄せて、かじっている。俺は老婆の骨張った首を絞めながら、固い背にのし掛かった。顔を寄せると、老婆と女と交互に顔面が変わった。俺の指にまとわりついていた長い髪が、だらりと垂れ下がった。俺の体には、重みが戻った。首に手をやると、ぬるりとして痛む。仰向けになった女はギザギザの歯を剥き出し、ポカンと唇を開けていた。俺は女の体を座席から払いのけた。ハンドルを切る。アクセルを踏みつけた。走っても走っても永遠に何処にも辿り着けない深い闇─「でもチャンミン。お前のところに俺は帰る」踏み込んだアクセル…びしっと鈍い音がして、フロントガラスに丸い罅がはしり、虹色に光る──


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