TIME is MONEY
第7章 scene Ⅶ
「え……」
雅紀がいつも通り仕事に出てから、パソコンに向かった俺を迎える画面から一切の情報が消えていた
デスクトップを見ても、履歴を見ても、パスワードを解除しても
俺が掴んだページは全て削除されている
おかしい
何が起きた?
雅紀に怪しい様子は見えなかった
バレた感じもしなかったのに
どこか違うとこに保存したのかとあらゆる手を尽くしたけど
今、目の前にあるパソコンには何ひとつの情報もなく
どうでもいい内容のものしか残されていなかった
…まさか雅紀が?
だけどいつの間に?
昨日の昼間は普通に情報は残されていた
雅紀が帰ってから使ってたけど、俺が傍にいたし特に変わった様子はなかったはず
だけどここには俺と雅紀しかいないから
ハッキングでもしない限り、雅紀以外にこれを触る奴はいない
「もしもし、…翔?」
何か知ってるとしたらこいつしかいない
『どうした?お前から掛けてくるなんて珍しいじゃん』
“台風でも来んじゃねぇの?“
「なあ、雅紀ってパソコン得意?」
相変わらず軽口を叩く翔に構わず、気になる事だけを訊ねる
普段からパソコンは使ってるけど、そこまで得意そうには見えなかった
いや、見せないようにしてたのかも知れない
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