TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
胸ぐらを掴んだまま、雅紀にのし掛かる姿勢になってしまった
そしてすぐにシャツから俺の手を引き剥がし、体の両脇で押さえ付ける
密着した姿勢に、激しく動揺した
だって男だろうが女だろうが、こんな態勢になった事がなかったから
こうなると、冷静を装った俺が出来るのは顔を上げるくらいしかなくて
…自分の体力のなさが全く持って恨めしい
学生ん時に、もっと運動しときゃ良かったな、なんて今更だけど痛感した
だってそうすれば
こんなに動揺していても、こいつの下から逃げる事は出来るんだから
「…どいてくんない?」
下から剣呑な瞳を向ける
「やだ、って言ったら?」
「…は?」
何言ってんの、こいつ
って言うか
何強気になってんだよ
「かずってさ、可愛い顔してるよね」
「はぃぃっ?!」
…思わず声が裏返った
予想外どころか、俺に対する辞書にそんな言葉は存在してなかったから
突然何言い出す訳?
こいつ、最初からバカだとは思ってたけど
いよいよ本格的におかしくなった?!
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