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一瞬真顔になって、すぐに作られたような苦笑を浮かべた雅紀は

「…そこはまだ秘密、かな」
そう言って、はぐらかした


「俺がここにずっといるって言っても？」

そんな事微塵も思ってないけど
わざとカマを掛けてみる


「嘘つけ」
ま、そんな簡単には引っ掛かる訳ないか

多分今の雅紀は “バカ“ ではない、別の何かが表に出ているだろうから

天然バカの時と、明らかに目が違うんだよ
一緒にいるうちに、俺もそこは分かって来たんだ


天然の時は本気でどつけるし、思い切り言いたい放題に出来るけど

そうじゃない時は、地雷を踏むのと何ら変わらない

少し距離を置くようにして、その目が和らぐのを待つようになった


「でも俺は帰る家なくなったけど？」

それ以上空気を重くしないように、少し明るめに言って雅紀に視線を向けると


「かずなら、家がなくたって逃げる時は逃げるだろ」

“お見通しだ“ と言わんばかりに、ニヤリと唇を歪めて見せた


そして

雅紀が俺の顎に指をかけた

払い退けたいのに、この強い視線がそれを許さない


この空気、ヤバい……

そう、脳が訴えてるのに
何故だか俺は捉えられたように動けなくなった