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速度松(おそチョロ)

第1章 速度松(おそチョロ)

その日は本当に何も無い日のはずだった
いつも通り僕は求人誌を読んで、外にニャーちゃんグッズ買いに行ってそして家に帰って昼寝でもしようと考えていた
なのに、なのに何で
僕、おそ松兄さんとキス…してるの?
それはいきなりだった
扉を開けたら何故かおそ松兄さんが立ってて、突然迫られてキスされた
唇が重なり、おそ松兄さんの手で頭を抱えられ、僕が閉じていた唇の間に舌が無理矢理入ってきた
おそ松兄さんと僕の舌が重なり、兄さんの舌が僕の口の中を履い回るように動く
くちゅ…くちゅ…と玄関にいやらしい音が響き渡る
こんなこと、兄弟で、男同士でしちゃダメなのに、誰かに見られたら終わるのに、だから、意地でもおそ松兄さんを離さなきゃダメなのに…
なのに僕は…ずっと振りきれないでいる…

おそ松兄さんの事は昔から友人として、相棒として兄弟の中で一番好きだった
だけど僕はいつからかおそ松兄さんのことを恋愛対象として見てしまっていた
好きで好きでたまらなくて、そう思う度に僕は罪悪感を感じ、あまり一緒に行動をしなくなった
おそ松兄さんへの気持ちを捨てるため、僕はおそ松兄さんとは逆に真面目を演じるようになった
そして冷たく当たるようになった
だから僕は好きなんて気持ちはもうないはずなのに
むしろ嫌いなはずだったのに
おそ松兄さんにキスをされて好きという気持ちを捨てきれなかったことを自覚してしまう
んぅ…はぁ…くちゅっ…ちゅ…
おそ松兄さんは僕のことをまだ離してくれない
長い間キスしているからか意識が朦朧としてきていた
手足にもう力が入らない
フラフラになってきた時おそ松兄さんはそれに気がついたからか、僕の唇から自分の唇を離した
「…チョロ松…」
僕から離れたおそ松兄さんの顔は本当に余裕が無さそうな顔だった
…そんな顔しないでよ…
「おそ松、兄さ…?」
さっきのキスであまり空気が吸えなかったため途切れ途切れにそう言った
するとおそ松兄さんは悲しそうな顔をした
「ッ…ごめんな…チョロ松…」
フラフラしている僕をおそ松兄さんは謝りながらぎゅっとやさしく包み込むように抱きしめる
「…ど、し…たの? なにか、あった…の?」
今日のおそ松兄さんは本当におかしいと思った僕は酸欠ながらも一生懸命問いかけた
でもおそ松兄さんは何も答えない
僕を抱きしめ続ける
さっきより力が強くなった気がした

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