肝だめし
第6章 殺意
布団も綺麗に敷かれたままで、あれだけ暴れたのに乱れもない
すぐに電気を点けて深呼吸
「はぁ~戻った~!」
開放感でいっぱい
でもしばらくすると、さっきの恐怖がじわじわと蘇ってきた
「夢か~」と思えればどんなにいいだろう
体のアチコチが痛み、それがただの夢でない事を物語る
夢と現実の狭間
そこには霊界と繋がる何かがあるのかも知れない
こんな感覚は生涯この2回だけだ
ただ前回と違っていた事が一つ
押し入れのふすまが少し開いていたのだ
「なんで??」
もちろん開けた覚えはないし、閉め忘れでもない
「ほんまに出て来てたんか…」
一瞬ゾクッとしたものの、あれだけの恐怖を体験した後ではどうでもよかった
「はいはい、怖い怖い」
半ば逆ギレして布団に倒れ込み、そのまま泥のように眠った
これを最後に幽体離脱はなくなるのだが、この頃から現実の世界で不可解な事が起こり始める…