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知らない世界

第5章 仲直りのお礼

「おはよう~」


あれから俺は、少しずつ二宮と学校で声をかけるようになった。
まだ挨拶程度だけど。
正直、今までのあいつの仲間になったなんて思われたくなかったから。
たぶんあいつもそれがわかっているのか、挨拶くらいしかしない。

その壁が壊れたのはそれからしばらくしてのこと。
季節は学園祭シーズン突入。
俺達のクラスでも、何をするかを話し合った。
俺はとくに何も発言はしないで、ただみんなの話を聞いていた。
何気に二宮に目をやると、下を向きモジモジとしているように見えた。


「何だあいつ・・・どうしたんだ?」


すると振り向き俺を見た。
何か言いたそうな顔をしている。


「何だ・・・あっ、そうか」


俺はあごで前をさした。
不安そうな顔をして前を向く二宮。
そしてゆっくりと、手を挙げた。


「え~と、あとは・・・えっ、二宮君?」


委員長の言葉に、全員が二宮に注目した。


「二宮君・・・何か・・・」


ビビリながら意見を聞く。


「あの、俺は・・・」


みんなは二宮が何を言うのか大注目。
前の二宮では考えられないくらい、緊張しまくっている。


「縁日なんてどうかな・・・」



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