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仲村慶彦の憂鬱な日々

第15章 イク夫

結局、カラオケはオレを除く4人で大いに盛り上がり、お開きとなった。

オレはいまだにクラスメイトの名前すら満足に覚えていない事にある種の罪悪感をかんじていた。

(向こうはオレの名前を知ってるのに、オレが知らないんじゃ相手に失礼だよな…)

そんな事を考えながらチャリを漕いでウチに向かった。
もうすぐでウチに着こうという時に、「お~い、イク夫!」と声が聞こえた。

!!誰だ!オレの中学時代のあだ名を呼ぶのは?

「おい、イク夫久しぶりだな」
いや~っ!そのあだ名で呼ぶな~っ!
道路の反対側でオレを呼んだのは中学時代のクラスメイトで、吉田 悠一(よしだ ゆういち)こいつともよく遊んだっけ。
中学を卒業して吉田は別の高校へ行ったから、会うのは卒業以来だ。
「ヨッシー久しぶりじゃん。今帰り?」
オレは旧友との再会で気分は中学時代に戻った。
「イク夫、コンビニでバイトしてんだって?」
だから、イク夫と呼ぶなっ!
「うん、毎日じゃないけど。ていうか、もうイク夫と呼ぶなよ」オレの黒歴史だ!
「なんで?オマエ、高校じゃイク夫と呼ばれてないの?」


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