テキストサイズ

委員長はエッチでした

第12章 真夜中のおしおき





当たり前のように
言われて

当然のように
抱きしめられて
腕を腰に回された。



絡められる腕に
鳥肌がたち
窓を開けて
身を乗りだした。



「……彩香、相変わらずのお転婆は、もうやめるんだ、どうせ俺からはもう、逃げられないよ」



「……やめて……っ、逃げられないなんてこと…っ!」



……絶対にないっ、
あたしは……っ、



もうこの人に
囚われる訳には
行かないんだから…っ、



あたしの居場所は
亮のいる場所なんだから…っ



ベランダの柵に
足をかけて

真下にある風景に
一瞬怯みそうになる。



アスファルトじゃない
土の地面
近くには草むら……っ



……行ける!



「……亮っ」



あたしを守って…!



「……彩香!……あいつはそっちにはいない!……ここで待てば、帰って来る、俺がそう仕向けたんだから!」



……はあ!?



後ろから抱きすくめられて
柵に乗せて
体重をかけた足が

ズルリっ!



滑って、結城さんの手が
あたしの体から
離れた。



ふわりとした浮遊感
落ちそうなあたしに
とっさに手を伸ばす

結城さんの手を

あたしは掴みはしなかった。



態勢が崩れて
そのまま落ちてしまう。



「……彩香!……っ!」



珍しく余裕のない
結城さんの
張り詰めた声に

あたしを見下ろす表情
氷ついたような
蒼白い顔。



全てがスローモーションのようで
地面が近付き

咄嗟に態勢を整えながら
焦った。



この態勢じゃ…間に合わない……っ!



ぎゅっと目を閉じた
その瞬間

人影がサッと
現れたのが
一瞬、視界に入った。



風を切る音が
妙に長く感じた。




「……彩香……!……何やってんだ……ッ!……バカ!」



聞き覚えのある声に
舌打ちの音が聞こえて

柔らかい何かに
掴まれて
鈍い音と衝撃がして
誰かと一緒に地面に叩きつけられ

土の上を転がった。




……ぎゅっと抱きしめられて
そんなに痛みを
感じない事実に

驚いて目を開けた。




草むらの中まで
誰かと転がったようで……

確かに一瞬
抱き止められた気がして

信じられない思いで
首を振った。



草むらの中
見上げるけど
結城さんの姿は見えない。



落下した距離に
身震いしてしまう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ