テキストサイズ

委員長はエッチでした

第12章 真夜中のおしおき





「何すんのよっ!」



翔矢の肩の上に
荷物のように
乗せられて喚くあたし。



視界が高くて
しかも片手で背中に
手を回される。




「……っ、だから手当てだってば!ちゃんとキャッチ出来ると思ったんだけどなぁ、
あんたの声がデカいから、すぐに気付いたのに、思ったより落ちるの早かったからさ、あんたちょっと太ったんじゃない?」



「何ですってぇ?太る訳ないじゃない、むしろ……っ」




「……痩せたよね?」




急に優しい声になり
背中を優しく
擦られて
びっくりしてぐっと言葉に詰まる。



目頭が急に熱くなる。



そんな不意打ちみたいな優しさ
やめて欲しい

……調子狂うし。



あたしを肩に担いで
旅館の中に
普通に入って行く。



一階の厨房とかを
普通に横切り

襖の畳の部屋に
連れて行かれる。



あたしの足は
ぷらんと翔矢の背中で
振り子のようになるのに

平然と歩くし
色々な人に
声をかけられて
恥ずかしくて

翔矢の肩で顔を隠した。



そういえば、
この旅館の女将さんが

二番目のお母さんて
亮が言ってたっけ?



……じゃあ昔はここに
住んでいたのかな?



山があって
海があって
野生児のようだった
翔矢にとっては

楽しい遊び場だったのかも
しれない。




広くてシンプルな
畳の広い部屋に
無造作にぽいと下ろされて

畳の上に転がってしまった。




「あれっ、悪い、わざとじゃないから、……足、ひょっとして捻挫とかしてんのかな?」



足に力が入らなくて
転がってしまった。



そんな気がする。



「もうっ、もうちょっと、優しくしてよねっ」



ぶつぶつ文句を言うと
むすりとした顔の翔矢が
ふいと顔を反らす。




「……俺はあんたには優しい、……自分でもびっくりするくらいに、優しくしてるんだけどね」



それはあたしに言うより
自分で言って
自分で驚いてるような

そんな表情で
ふわふわの髪を撫で下ろし

一瞬考え込むような
複雑な顔をした。



「あっ、心配するから、亮にメール入れなくちゃね?」



ころころと
表情をかえる翔矢は
相変わらず
何を考えてるのか
分からない。



だけど昔よりは
優しい……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ