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委員長はエッチでした

第3章 家族とは






朝食の席で
慌ただしく会社に行く
仕度をしていたお母さんが
「ああ、そうだった」
ふと思いだしたように
口を開く。



「彩香〜、
明日からお母さん、出張に行くからね?
明日の朝に出発して、会議に出て、明後日には帰るから〜」



洗面所で長くて栗色の髪を束ねて
バレッタで無造作に夜会巻きにしている。


栗色の髪
薄茶色の瞳の美人。


ハーフでも何でもないのに
生まれつき色素が薄く
派手な外見をしている。



お母さんに似ているとは
言われるけど
あたしの髪や瞳は
真っ黒だ。



「本社が大阪とかだから、行ったり来たりで、
本当面倒だわ〜、会議ってどうしていちいち、
やらなくちゃなんないのかしら?」




ぶつぶつ言いながら
香水をシュッ
手首に擦り合わせている。



甘い花と石鹸が混ざったような
自然な薫り。



お母さんの好きな香水。




「……お偉いさんは大変だね?」



くすりと笑いながら
結城さんがお母さんに
タオルを渡している。



洗面所のタオルを
取り替えて
洗濯篭に放り込む。




テキパキと無駄のない動き。




「お偉いさんだなんて、やあね〜?
ずっと働いてたら、誰だって昇進して行くわよ〜?
部下なんか面倒見なくて良くて、自分の契約取ってばかりの時が一番良かったのに」




「でも俺は早苗に面倒見て貰えたから、
今があるんだけどね?」



早苗はお母さんの事だ。
冗談ぽく言って
くすりと笑う結城さん
甘い視線で
お母さんを見つめる。



「そうね、結城は優秀な部下で、
素敵なあたしの旦那様だわ」



サラリと言うお母さん
見つめ合う二人。



ああ
はいはい
勝手にやってくれ。



ちゅうなり
なんなり。



仲がいいんだから……。




昨日
正確に言えば
今日の真夜中の
3時頃だ。



たった何時間前かの
出来事。




あたしを抱いたその手で
お母さんを抱きしめる。



平気でキスをして

結城さんは
そういう
ズルい男だ。



ああ……。
早く
黒崎に会いたい
一刻も早く
浄化して欲しい。



そう思うあたしは
何なんだろう?

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