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誰も見ないで

第6章 キスの次は

渡辺目線


「ねぇねぇ、なんか今日の渡辺君すっごく色っぽくない?」
「わかる! 授業中とかめっちゃ見ちゃうんだけど」
「なんか憂いてる感じ? かっこいい〜」


今日も騒がしい教室の中、普段通り特に話す友達もいない俺は自分の席でため息をついた


「はぁ……」


この前紺野君と晴れて本物の恋人同士になって、風邪だって完璧に治ったっていうのにどうしてかっていうと


…………ちゅー……されちゃったなぁ……


仲直りしたあの日に紺野君と交わした口付けが忘れられないでいたからだ


あぁぁぁ……
なんだかまだ顔が赤い気がしちゃう

朝ちゃんと鏡で確認してきたのになぁ

うぅ……


気がつけば目が行くのは紺野君の後ろ姿ばっかりで、朝恒例の寝顔を見ていた時なんかは唇にしか視線が行かなくなってしまって困った


どうしよう
こんなことばっかり考えてるなんて、変態さんみたいだ……


頭を抱えてもう1度ため息を吐く


そんなことをしている間にあっという間に昼休みはやってきて、また紺野君がお昼ご飯を作ってきてくれた


「なんだか、今日は1日元気がないようでしたけど、まだ具合が良くないんですか?」

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