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誰も見ないで

第2章 嫉妬


帰り道
いつも通り正樹と2人歩きながら俺は謝罪の言葉を口にしていた


「正樹の言った通りでした。疑ってすみませんでした」


俺の素直な謝罪に正樹はクスクス笑う


「しっかり紺野君に嘘ついてきた? 指の絆創膏はどんな言い訳したの?」
「……ん……転んで、手ついたから、って……」
「あははっ、苦し紛れすぎ!」
「でも紺野君は信じてくれたもん」


顔のにやけが収まらない正樹に拗ねたように言うと


「紺野君は素直で優しい子なんだね」


と言われた


素直で優しい……
確かにすごく素直で優しい

けど正樹に言われるとなんか胸がチリチリする

正樹の言ってることはあってるのに、紺野君と話したこともない正樹がって思っちゃう

俺ってひどいやつ


「……うん」


でも紺野君がかわいいのを知ってるのは俺だけだから


「お弁当は好評だった?」
「うん。美味しいって言ってくれた」
「そっか。良かったね」
「明日はまた紺野君が作ってくれるみたい」


俺がそう言うと、何だかおさまりかけてた正樹の笑顔がまた復活してるのに気がついた


「なに?」
「ん? いや、湊斗楽しそうだなって」


なにそれ?
そりゃ楽しいよ

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