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誰も見ないで

第15章 そんな時期


泣いてるところを湊斗君に見られるのはなんだかいけない気がして、僕は目を擦らないようにティッシュで優しく雫を吸い込ませた

目は擦るから腫れるんだって前に何かで見たから

深く息をして、心を落ち着かせる


こんな風に隠すのに慣れちゃうのはすごく
ダメな気がする


けど


それで湊斗君に気を使わせるようなことがあったら絶対ダメだから

湊斗君の将来の選択肢を僕が狭めるなんて、したくないから



「ただいまー」
「おかえりなさい」
「もー母さんたち話長すぎ。瑞稀君のこともずっと心配してたよ」
「そうなの? 嬉しい」


それから湊斗君が電話を終えて帰って来ても、僕は何でもない風に接した


2年生の終わり頃いよいよ進路希望調査票の提出期限が来ても、湊斗君から何か言われることはなかったし僕からも聞かなかった


僕はといえば、進みたい大学、勉強したい学部や学科が細かく決まって、面談では先生から


「今から頑張れば紺野なら十分合格できる」


と言ってもらえた


「受験勉強、頑張ろうね瑞稀君」
「……うん!」


そして湊斗君は自分の進路希望は何も教えてくれないまま、僕達は3年生になった

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