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誰も見ないで

第3章 好き


教室に入るといつも通り紺野君は机で眠っている

俺は自分の席に鞄を置いて、そっと近づいた


かわいい寝顔


また胸がきゅん、と締め付けられて


あぁそっか
これがトキめいたってことなんだ


昨日読んだ漫画から得た知識を自分の身体で再確認した

そこで、やっぱり一緒に浮かんでくる濃厚なキスシーンの描写

自然と視線が向かう紺野君の唇


女の子がお化粧してるみたいだ
ピンク色で
ツヤツヤしてて

それに、柔らかそう


自分の唇に指で触れる


俺のは……ちょっと硬い、かな
なんだか俺が触れたら紺野君に痛い思いさせてしまいそう

んー……
いや、これは指が硬いからそう感じるだけなのかな


お弁当の時みたいに気になりだすとすごく気になって


うーーーん……


俺は紺野君の携帯のアラームが鳴るまで手の甲とか手の指の付け根とかに唇で触れて感触を確かめた


だってもし……もしだけど、紺野君とそういうことになったら……
唇が乾燥してるとかで嫌われたくない……


「……ん……」
「おはよう、紺野君」


アラームをいつものように眠そうに止めた紺野君が起き上がったのを見て声をかける

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