初恋
第4章 赤い屋根のうえ
追った先には、赤色の屋根。
「あーー!」
また、鼓膜を破らん勢いの大声で彼女が叫ぶ。
おいちょっと待てよ。
俺をあんなにドキドキさせておいて、見つけるの早いだろうが。
余韻を与えろ、せめて。
俺の機嫌は急降下。だけど
「本当に見つかった!やっと帰れた!」
無表情に定評のある俺の不満を、彼女が察するわけもなく。
「ありがとう!ありがとうありがとうー!」
馬鹿のひとつ覚えみたいにそればっか言ってくるもんだから、「よかったな」と声をかけることしかできない。
礼はもういいから、早く行ってこいと
ついでにその言葉も付け足した。