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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第28章 BLUE BIRD

『お義父さん…!待って下さい』



『和樹くん…冷静になりなさい

綺麗事では済まない事は
君にもわかるはずだ

まりあは君に苦難を強いると思ったから
私達に連絡を寄越したんだろう』





『僕は…仕事も、まりあ の世話も

ちゃんとやれる自信があります…!』






『ハハ・・・そうか、さすがだね君は

〃厄介払い〃が出来て、助かった…
なんて言われたら

どうしようかと思って来てはみたがね』






『は……?』






『・・・』

〃・・・え?〃









『和樹くん…すまないが

この際だから…話してしまうとしよう』







『……!?』







『全て…聞いている、と

言っただろう・・・?』






『~~っ……!?』







『君は…一度も…一言も

自分からは…何も話してはくれなかったね』







『……』








『まりあ は……一度もないんだ』







『え……』








『自分から…親に泣きついた事なんて

親に泣き言を言った事なんて

まりあは一度としてなかったんだ』







何を……言うんだろう?

わかるようで、わからない



読めないその胸中を

次の言葉を心待ちにするように

俺は聞き入っていた






『和樹くん……本当は

何があったんだい?』






『……!?』






『君の口から……話すことは

本当に、何もないのかい?』






『まりあは……何を』









『まりあは…何も言わなかったよ

ただ、ケガをして歩けないから
手を貸してほしい、と

それ以上の事を聞いても…
どれだけ聞いても話さないから

ずっと側にいてくれた君になら
一番話が聞けるかと思ったんだ』






『~~…っ』






『すまないね和樹くん
まどろっこしい事ばかり

しかしね……こればかりは
〃親の勘〃というものでね

そう説明がうまく成り立たないんだ』







親の勘・・・


理屈のない・・・不思議な力




ヤツが…自分の親をも騙しきる
完璧なお面を被っても



親の目は…

マリアの両親(おや)の目までは

誤魔化せない




俺は、そんな〃親の力〃を

目の当たりにする

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