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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第28章 BLUE BIRD

ついには両親の手に渡ったマリアの手帳


苦渋の決断であり
マリアにとって
最後の手段だったんだろうな


最愛の両親に
心配をかけたくなかった

そんなマリアにとって、きっと
最も見られたくないシロモノだ


〃話したくない〃

〃知られたくない〃

〃悲しませたくない〃



だけど…その無言のメッセージを
両親に届ける事でしか

両親の問いに答えられなかった
助けを…求められなかったマリア






『それは……?』




『開けてみなさい…和樹くん』




義父から手帳を受け取り
パラパラと開いたヤツは・・・


瞬時に血の気が引いた顔をした




それは・・・そうだよな










『な… … …?!』







『和樹くん……』








『こんなものは……っ』










『私の娘の妄想?…デタラメかい?』







『お義父さん……っ』








『親だからと言って
娘の言うことだけを鵜呑みにして

君をただ一方的に咎めようなどとは
思っていないよ

娘にも…至らない事も
多々あっただろう

だから…君の口から話も聞きたいと
何があったのか、と聞いたんだよ』




怒りを……抑さえたって
抑えきれないだろうに

マリアに寄り添い
悔し涙を堪えているお母さんの横で

娘婿と向き合って
訴えかける父親の姿は

その大人しそうな姿とは
かけ離れた

心優しく、強い

勇敢な父親に見えた

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