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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第29章 果たされぬ・・・約束


『エリカ・・・ごめんな?』



俺は泣きじゃくるエリカの頭に
手をのせた




『っ…っく、ひっく…、・・・???』





『昼間は・・・言い過ぎたぜ』




望まずに妊娠したら、堕ろせばいい

なんて

本心で言った訳じゃなかったんだ










『ユウト・・・エリカ、ウソばっかついた』






『うん・・・わかった、わかったから』







『ユウト・・・ごめんなさい』






『うん・・・わかった』








『エリカ、こわいんだ』






『うん?』







『うちに帰っても…パパもママも

エリカをきっと許してくれない

だからエリカ・・・ずっと』







『エリカ・・・』







『ユウト・・・エリカを追い出さないで?

エリカ、いい子にするから

ユウトの言うこと…ちゃんと聞くから

エリカをここに置いて…お願いユウト』






その事情(ワケ)を聞いた俺は

本当は首根っこを掴んで…
引きずってでも

エリカを今すぐに
両親の元へと帰したかった


帰したかったし、そうするべきだ


この子の親は…死ぬほど心配している
それがわかったから




しかしながら目の前には

泣き崩れて

精神も崩壊しそうな少女








『エリカ・・・?

エリカ・・・~バカだよなぁ?』







『っ…っく…???』






『エリカの…良いとこも可愛いとこも

何も見ようともせずに

バカな男だよな?♪』







泣きじゃくる少女をなだめながら
内心思っていたこと


この子は…少なくとも
そのクズ男に執着されてはいない


今のタイミングでちゃんと離れて
この子自身が目を覚ませば


ちゃんと親元に返すことが出来れば
必ずやり直す事が出来る



籍の入ってる相手ではない

何よりこの子には

やり直すだけの時間と可能性が
十分にある


本人にこそ言わなかったが

そのクズ野郎が
この子と籍を入れた〃夫〃でなくて
本当によかった

俺は本心じゃそう思っていた

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