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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第29章 果たされぬ・・・約束

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『すみませ~ん、お願いしま~す』


「はい、どうぞ~~♪」





『あの、車椅子を乗せて頂きたいんですが
トランク開けていただけますかしら?』




「えぇ、えぇもちろん!
積み込みやりますのでお客さんは
どうぞ、お乗り下さいね♪」






『すみません、御手数おかけします

・・・ん?…あのぅ

もしかして…ラッキータクシー???』







「お♪お嬢さん知ってるね?
ラッキーですよ~♪

ま…何がラッキーなんか
おっちゃんも、ようわからんけどね(笑)」





『『アハハハハ~』』





バタン・・・







「母娘(おやこ)でお出かけですかい?
仲が良くていいですね~♪」





『治療法…探して
有名な鍼師の先生の所に行った帰りです』


『色々試してはみたんですけどね…中々』





「ほぉ~…親子で頑張ってるんですね」




『ふふ・・・。・・・?
運転手さん?

なんか・・・このタクシー
〃いい匂い〃がしませんか?』


「ん?…そうですかい?」



『ねぇ…お母さん?』



『??お母さんわからない
なんの匂い?』




『んー・・・何って言われると、ないけど

物の匂いじゃなくて…美味しい空気みたいな

・・・〃懐かしい匂い〃・・・かな?』






『わかるわけないじゃないそんなの!(笑)』




『ふふ・・・やっぱり?(笑)
脚動かない分、鼻が
異常に発達しちゃったのかな♪

それより…ごめんねお母さん
いっぱい迷惑ばっかり…』



『何言ってるんだか、この子は
やれることは全部やってみる
その約束でしょ♪』




『ふふ・・・でも
ラッキータクシー乗ったから
良いことあるかもね♪』





「うん!そうだそうだ
前向きにしてたらきっと幸せは
向こうからやってくるよ!

しかし~久々に言われたよ
ラッキータクシー
もうブーム終わったんかと思ってね(笑)

お客さんの前にも
若いお兄ちゃん乗せたけど
興味なさげにボーっと外みとったさ(笑)」




『あら、勿体ない』

『ふふ…でもその人にも
良いことあるといいね、お母さん』



『また、この子は(笑)』








『だって・・・誰かが泣いてるより

笑ってる方が良いじゃない・・・』

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