
かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第15章 命の・・・重さ
診察台の横
私が仰向けになっている
ちょうどその位置から
見えるように設置されてる
パソコン画面みたいな
モニター・・・
「ここがあなたの子宮ね」
画面上を
マウスポインタみたいなのが動いて
それに沿って医師が説明してくれる。
「状態も良くて
とても綺麗な子宮ですよ」
『~~~~…』
何か丁寧に言ってくれてるけど
私はちっとも頭に入らず
貧血おこしかけていた。
ヤバイ…
気持ち悪くなってきた。
「ハイ…おしまいですよ」
『・・・~~』
グィーーー…
診察台がまた
機械音を立てて
ゆっくり元の位置に
戻っていく。
「ハイ、お疲れ様でした
危ないですから
機械が完全に停まってから
台から下りて下さいね」
看護師さんが
また穏やかな声で言ってくれて
ようやく終了。
「大丈夫ですか~?
気分悪くないかな?」
『・・・』
とっても悪いです・・・
とは言えず。
「無理せずゆっくり起きて
お着替え済んだら
診察室に来て下さい
先生からお話がありますからね」
『ハィ…アリガト…ゴザイマシタ』
なんとか返事をして
台から下りて
支度をした。
「おめでとうございます
胎嚢が確認出来ましたよ」
『ぇ・・・』
「妊娠10週目ですよ」
エコー写真と言うものを
医師が渡してくれた。
さっき…診察で
モニターに写ったものの
コピーみたいな写真。
元々苦手な病院が
さらに憂鬱で
不安で不安で
恐くてたまらなかった理由
それは
当然だった。
「タチバナさん
どうされますか?」
『・・・』
『出産を
希望されますか?』
