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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第15章 命の・・・重さ

『ただいま』



マリアが病院から帰って来た。

あんまし顔色良くねぇんだよな…
昨日からだけどさ。




昨日・・・一睡も出来なかった。

最低な事を考えながらさ、俺は




マリアの口から…語られる事を
待つだけ?・・・



言ってしまえば


〃ほぼほぼ間違いないこと〃なんだ。



ああだったらいい、こうだったらいい


なんて・・・ウダウダ言っても
しょーがねぇからさ。


『寒かったろ?お茶飲むか~?』


マリアのキッチンに立って背を向ける。

なんか…話反らしたみてぇだな?俺…





『ぁ…なら私が・・・』

『いいから♪…座れよ』




お湯の沸く音と湯気…が
タイムリミットを知らせる



『インスタントで良ければ
コーヒー…そこの引き出しにあるよ…』

『あぁ、サンキュ。…マリアお茶でいい?』




『私・・・は、〃白湯〃がいいかな…』

『???…あぁ、うん』







テーブルの上にカップを2つ並べて
向かい合う。



シーン・・・



そりゃそうだよな。




マリアは…黙りこくってる
ってより

話す順番つぅか…言葉を考えてる

そんな風に見える。







『…間違いなかったの?』



急かすワケでないが
俺が先に聞いてしまった。




『・・・うん』






・・・。




・・・・・・





事実は…確定した。





ここから…どうするか、だ。






『~…医者は・・・何て?』



『ぇと・・・・10週…』







『・・・ってぇと…?』


『約…2ヶ月くらい・・・かな』







カップを持って手を温める
マリアの手が…少し震えてる。





『ハハ…ちょっと…またしばらく
忙しくなりそうだな・・・でも私…』



少し無理やり笑いながら
ごまかすようにマリアはバックから
何かを取り出して整理している。



マリアがおそらく語るであろうことは

〃2つに1つ〃の…答え。




それは・・・〃色んな意味で〃

2つに1つ・・・。




『マリア・・・』















『・・・産まないよ』



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