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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第15章 命の・・・重さ

コトン…


俺はマリアの前に渋そうな
緑茶を注いだカップを置いた。






『ぇ・・・』


『…マリアお茶…嫌いだったっけ?』









マリアは・・・自覚してないんだろうか?










『???・・・』







『お茶は・・・カフェイン多くて
妊娠中は良くないらしいな…?』











『ぅ・・・ん…でも?…』









『そう…でも、べつにいいよな…?

マリアは…子どもは堕ろすんだもんな?

明日・・・手術するんだろ?』







『・・・~~』










『もう…気にしなくても、いいんだろ?』









『わ…私はべつに・・・そんなんじゃ』









ちょっと目を右往左往させて
マリアがお茶に手を伸ばそうとした。












『…っ』

『・・・・・・やめろって』







俺はマリアの手を止めた。









『マリア・・・』






マリアは本当に
自覚してなかった


俺は、そう思う。













『っ・・・べつに、たまたまでしょ?』




















『マリア・・・なんとかなるよ』









『は…?・・・』















『産んだら…育てりゃいい・・・』
















『ゆぅちゃん…何を・・・言うの

だから、それは…もう無理だから』














『当たり前に、産んで

当たり前に……育てりゃぁいい』











『わけわかんない・・・もうたくさん』

















『ひとりで・・・じゃなくてさ』











『な・・・』















『俺が・・・一緒に育てる』


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