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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

〃完璧な息子〃〃完璧な夫〃を
演じ切った

その息子を前に、わざわざそんな発言を
繰り返していれば

どんなことに…と言うか
こんな事になることは

マリアでなくとも想像がつくだろう

言わば挑発行為だ



むしろ自分のが既に
気が狂ったかのような
癇癪おこした姑…



『母さん…少し落ち着いて。倒れるよ』



ヤツは…あくまで完璧な被害者夫の面を
外そうとはしない




『お!お!落ち着いてなんか!いられますか!
こんなっ…こんな嫁っ

こんな女はぁ!お母さんは絶対に!
絶対に許しません!
末代までの恥じよ!和樹っ!!

今すぐにっ、今すぐに
和樹と別れなさぁぁい!!
二度とうちのっ…敷居を…っ』




『〃跨がないでちょうだい〃?
あははは!~結構です

そんなモンちっとも跨ぎたくも
なんともありませんから~』





『あ!あんたねぇっ!自分の立場を
少しはわきまえて物を言いなさい!

世間知らずも度が過ぎるわよ!
相手の男はもちろん!

こっちは、あんたからも
慰謝料を取ることだってできるのよ!?』





『ふぅん・・・それであなたの
その顔を見なくて良くなるなら
私には大変有り難い…
〃寛大な措置〃だと思いますぅ…アハハハっ』





『~~~~っ!!!かっ、和樹のっ
和樹の気持ちを!どれだけ

どれだけ踏みにじれば気が済むの?!
このキチガイ女はっ!

謝りなさいっ!今すぐに!サインして!
あぁっ、サインなんかいらないわっ!
今すぐに手をついて謝りなさいっ!』






『ふふふっ…だぁ~か~ら
〃こんな紙キレ〃…必要ないって
言ってるんですってば』





ピンっ・・・




マリアが誓約書を指で弾いて
床に投げ捨てた








『そこの彼とは…もう会わないですし?

何度も言ったでしょ?

ただの〃遊び〃だって・・・』







『マリア・・・?』






夢でもみてるのか?
とでも言わないと…言い様のない光景

俺はついに場をわきまえきれず
その名を…いつものように呼んでしまった





『ふふっ……ちょっとなによ?
なんて顔をしてるの?

まさか・・・あたしが
本気だったなんて

あなた一度でも思ってた?・・・』






『・・・』

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