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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第27章 飛べない鳥・・・

ゴク・・・~ゴクゴク


『・・・』



飄々としてワインを飲み続ける

その喉仏の動きが

一瞬だけ鈍った







『あなたの・・・たった一人の

人様の…奥さんに好意を寄せて

人道に背く行為をはたらいて

人様の家庭に荒波を立てたこと…

心から・・・御詫びします』





俺はヤツに・・・マリアの夫に

深く頭を下げた







『彼女と生きるのは…一緒にいるのは

それが許されるのは・・・今までも

この先も・・・あんただけだ』








『・・・』








『その女性(ひと)を

傷付けるも・・・泣かせるも

あんた次第・・・

幸せに出来るのも・・・あんただけだ』







『フン……』







『あんたにしか・・・出来ないんだ

あんたが・・・幸せにしてくれよ

二度と…彼女を

彼女の心も・・・

体も傷付けないでくれよ

俺は・・・二度と会えなくても

例え…その姿が見えなくても

彼女にだけは・・・そんな

悲しい人生を送ってほしくないんだ』









『~~っ・・・っ、ぅ…う…っ』


『・・・』





ヤツに腕を掴まれてるマリアが

逃れようと身をよじりながら

自由になる片手で

自分の顔を覆い隠していた








『立場もわきまえず

おかしな物言いをしている事は
重々、承知しています

でも…それが

俺が、あなたに
本当にお願いしたかった事です』

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