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ヴェルジェ~夢を追う少女~

第1章 夢のはじまり

 そして今――。

 ど田舎の実家から、臨海副都心の色葉市にトランク一個に最低限の用意をつめ、ギターを背負ってやって来た。

 今、黒の立派な外壁のマンション、ヴェルジェにいる。

 色葉市立音楽専門学校を受け無事合格。この目の前にあるマンション、ヴェルジェの抽選会で当選した。学校に徒歩圏内。しかも立地条件がいい。この辺りでこんな素敵な場所はまずないだろう。

 しかし迷う……。家賃が私には高すぎる。ここで生活するとなると高校時代に貯めたバイト代もすぐに底をつくだろう。もちろん、こっちでもバイトを見つけてするつもりだが、一人ではやはりキツい。

 親には学費は出すが生活費は出さないとキッパリ言われてしまった。けど、文句は言えない。最初は、大反対な親を説得してここまでこぎつけたのだ。それに学費をだしてくれるだけでも有り難い。いまさらど田舎に帰るなんて絶対に出来ない。

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