マリア
第15章 悲愁曲
「ハァ……も…っと…。」
吐き出したい。
薄汚れた感情にまみれた自分。
雅紀は、先端の窪みをさらに尖らせた舌先で器用に広げていき、
やがて、小さな子供がグラスの底の残り少ないジュースを吸い上げるように、
思い切り唇をすぼめて俺のモノをじゅるじゅると吸い上げた。
「んっ……ふっ……も……っと……も…」
まるで……
半身を吸い込まれてゆくみたい……
「はぁっ……あっ………」
あ…………
まるで、体の中から魂が抜けていくような錯覚を起こす。
それはそうか、
『イク』って言うのは、
『逝く』って書くもんな?
昇天する、とも言うし。
これで死ねたら、って、
何度思ったか分からない。
初めて…あの人と体を重ねた日からずっと、
ずっと俺はジュモンのようにあの人に言い続けた。
「殺して」って。
でないと、また誰かを連れていくことになるよ?って。
なぜ、って、俺は、
人の姿をした死神だから…
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