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マリア

第16章 迷走曲



翔side


和「ま…雅紀、なんて?」



声が聞こえなくなったスマホを耳から離し、呆然とする俺を見て、二宮が顔を覗き込んできた。



「智……智が…」


和「大野さんがどうしたの?」


「雅紀と…一緒だ、って…」


和「えっ!?何でまたアイツなんかと…?」


「分からない…分からないけど…!」



言い知れぬ不安に背中を押されるように二宮の手の中にスマホを戻すと、



スクバを抱え二宮の部屋を飛び出した。



和「ま、待って、櫻井さん!おっ、俺もっ!!」



赤信号に足止めを食らう俺に追い付いた二宮が、俺の背後で息を整える。



和「櫻井さん。まさかと思うけど、雅紀のやつ、大野さんに……」


「二宮。お前、雅紀の家、知ってるか?」


和「雅紀の…家…」



首を傾げる二宮に舌打ちする。



「…知らねぇのかよ?」

和「そんなこと言ったって、会うときは俺んちばっかだし…櫻井さんこそ、雅紀の友達じゃん!?」


「そういうお前は恋人だろ?」


和「…そっちの方が付き合い長いクセに…」


「うるせぇよ!!聞こえてっからな?」



分かってる。



こんなところで二宮と揉めてる場合じゃないことぐらい。



こうしてる間にも、智…







智、お前は………


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