マリア
第6章 練習曲
智side
「えっ!?あっ!?僕は…」
女の子とキス以上のこと、って…
「ま、まさか、翔くん、礼音と…。」
翔「俺、経験なくて、だからこんなことに…」
顔を真っ赤にして、頭を掻きながら俯く翔くん。
「で、礼音としたの?そのセッ…」
そこまで言いかけ、小さく咳払いをしながら僕は口を噤んでしまった。
翔「いや…した…っていうか…その…」
翔くんによれば、
礼音は、スマホを取り上げ、勝手に使ったことを詫びた上で、
電車の中で、上の空の状態でキスしようとしていたことを問いただした。
翔「ちょっと他のこと考えてて…」
「それ、他の女の子のことじゃないよね?」
翔「まっ、まさか!?礼音以外の女の子、なんて…。」
この間の試合のこと、急に思い出してしまったのだ、と翔くんは即座に否定した。
「負けちゃったからね?」
それが気にさわったんじゃないかな?と翔くんは小さな声で呟いた。
「じゃ、誤解は解けたんだよね?」
翔「え?」
「だって、礼音と…その…したんでしょ?」
経験のないもの同士の拙い行為。
恐らく礼音は初めてのことで緊張してしまったことと行為そのものに高揚してしまったことで、
二人が本格的に達する前に心臓に負担がかかったものだと、勝手に思いこんでた。
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