君のKISSに夢☆CHU
第12章 俺様系の兄
タバコの煙をフゥーッと吹き出すその唇。
薄く形の良い唇。
触れられた時の柔らかな感触。
そして、唇から与えられるあの快楽。
私を虜にする輝愛の唇から瞳が離せずにいた。
タバコを吸いながら、気だるそうに長い前髪をかきあげながら、輝愛が視線をこちらに向けた。
「またそんな瞳をしてるんだな。」
自分の髪をかきあげた手で、私の髪を耳にかける。
「いつもそうやって、物欲しそうな顔をして、俺を誘う。悪い女だな、お前は。」
吸っていたタバコの火を消して、輝愛がジッと私を見つめる。
いつものグレーの瞳から、私は瞳をそらせない。
薄っぺらい言葉なんていらない。
こうして見つめ合うだけでも、私の体は貴方のKISSを求めているんだから…。
見つめ合う二人の間に緩やかな時間が流れる。
落ち着いた柔らかな空気が気持ちを落ち着かせていく。
輝愛の指が私の顎を掴むのを合図に、私は静かに瞳を閉じた。
輝愛の唇と、私の唇が静かに重なった。