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原稿用紙でラブレター

第2章 年上彼氏の攻略法






呼吸を整えるようにまたふぅっと息を吐いたにのちゃんに、そっと投げかける。


「…許してくれるの?」

「…え?」

「あんな強引にした事…怒ってない?」


顔色を窺いつつ恐る恐る訊ねると、ぱちっと一度瞬きをしてすぐに目を伏せて。


一瞬で耳がふわっと赤く染まり、もごもごと口を動かしだす。


「うん…ちょっと、びっくりしたけど…」

「…あ、そうだよね…。ごめんね?」



そう。
だって、近付くことすら拒否されるくらいショックを与えてしまったんだって思ったから。



「…怖い思いさせて、ほんとごめん…」

「っ、違うの!それは…その、ね…」


段々と俯きながら口ごもっていくその声は消え入りそうで。


顔色を窺おうと覗き込めば、尖らせた口が小さく動いた。


「もう…限界だったの…」

「え…?」

「その…相葉くんに、触られて…」

「…うん?」

「あれ以上触られたら…もう、ダメだったかも…」


真っ赤な顔でぼそぼそとそう言って、唇をきゅっと結んだ。



…ダメだった?


って……あっ!



その意味を一瞬で理解してにのちゃんを見ると、潤んだ瞳を揺らし真っ赤な顔で俺を見つめ返す。



そ、そんな可愛いこと言わないでよっ…!



目の前で居心地悪そうに俯く姿にまた熱が込み上がってきそうで。


自分を奮い立たせる意味も込めて、にのちゃんの腕を取って一緒に立ち上がる。


足に纏わりつく砂埃を払い、その小さな手をぎゅっと握った。


「…帰ろっか」


なんだか無性に照れ臭くなって笑いかけると、視線の先で何か言いたげに見つめてきて。


眉を上げてその先を促せば、躊躇いがちに開いた口から思いがけない言葉が届いた。



「あのね…俺、実家出ようと思うんだ。
今ね、家探してて…だから、」



そして握っていた手をそっと引き寄せられ、少し背伸びしたにのちゃんが俺の耳元に顔を寄せてきて。



「そうなったら…相葉くん、一番に呼んでいい…?」

「…っ!?」



手を添えて小声でそう囁かれ、体中を電気が駆け抜けたような衝撃が走った。


唇をきゅっと結んで赤く染まった頬で見上げられれば、途端に顔中が熱く火照り上がって。



もうっ…


そんなこと言われたら…


今度こそ我慢できないってば…!!

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