テキストサイズ

Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第15章 神様のイジワル

今までに見たことないくらい

目に涙を浮かべて震える母親を

半ば無理矢理にタクシーに押し込んで

オレは病院に向かう







『っ…いいのよ…そんなに無理しなくて

試合なんか、どうだって良いのっ…

休んだって…放り出したって、いいのっ

いいのよ・・・っ、そんなもの

無事に・・・帰って来てくれさえすれば』





泣きながら叫ぶ母さんは

間違いなく…冷静ではなくなっていて







『わかったから…泣くなよ母さん』






『・・・っ・・・っ・・・』






『∥大丈夫∥だよ・・・

大丈夫に決まってるでしょ・・・』





根拠のない・・・説得力のない

相変わらずのオレの

無責任な慰めだった







出張で地方に行っていた父さんも

夜には合流して

オレたち家族は医者から

最悪の知らせを聞く事になった







骨折・・・?






そんなもんじゃなかった




それは・・・その道に立った弟にとって



もっとも・・・



最悪と言える大怪我だった





変幻自在・・・


トランポリンのように飛び回る



そんな風に言われていた弟の脚は




靭帯が断裂していた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ