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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第15章 神様のイジワル

オレはつられて会釈して

つい、病室に足を踏み入れた



もちろん担当の患者ではない



「どうもどうも~・・・」


綺麗に三つ指ついて

オレに何度も頭さげるばぁちゃん




おいおいおい、ばぁちゃん(笑)どうした?




あ・・・そうだ

オレ医者だったんだっけ



なんて、マヌケを隠して




「先生~…これは、これは

わざわざ来ていただいてどうも」




『(苦笑)…ちょ…調子はどうですか?』




あんまり丁寧に頭を下げてくるから

オレはなんか申し訳なくなって

それらしい言葉をかけてごまかした


(って言うか、なんか照れるんだよ
先生、先生なんて言われるとさ)




「えぇ、えぇ、おかげさまで」




『・・・』



オレは…このおばあちゃん・・・

この患者さんを見て気づかされたんだけど



このおばあちゃんみたいにさ

患者から見たらオレも

同じように医者なんだよな・・・



人の命を預って~…なんちゃら、とか

使命感が~…なんちゃら、とか


そんな言葉よりも、うんと


目の前にいる一人の患者の姿に



オレは

自分が白衣着てる責任感を

初めて実感した気がしたんだ






『お天気が良いですよ?

少しお散歩にでもいきますか?』



先輩の目をぬすんでサボってました

なんて、この患者さんにだけは

言えないな(※誰にも言うなっての)


なんて思いつつ


申し訳ない気持ちに

襟を正して話しかけた





「えぇ、えぇ、・・・先生

まだお若いでしょうにね~・・・

ご立派ですね・・・」





おっと・・・?(苦笑)

ちょっと認知症も来てるのかな


小柄な上にげっそり痩せている



おそらくは…末期の・・・だろうか。



ニコニコ笑って

オレを見ているばぁちゃん



オレはベットの脇に膝をついて

ばぁちゃんの話を聞いていた

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