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『たのむよ兄貴・・・助けてくれよ』




『・・・。・・・リョウキ』





『たのむよ・・・アイルを助けて。

オレ・・・なんでもするから

どんなことでも耐えるよ・・・だから

だから・・・アイツだけは・・・』





『・・・』





『兄貴・・・アイルを助けてくれよ…』




我を忘れたように必死に

何度も・・・何度も


僕にすがって懇願する弟の姿に

僕は…かつての自分の姿を重ねた




僕にも･････経験がある

大切な人をなくす恐怖に



なんとも冷たい目をした医者に

必死になって頼み込んだ過去



だけどね

今なら・・・わかるんだ



あの時のドクターは

冷たくしたかったんじゃないことも

そう言わざるを・・・

そう∥ならざるを得ない∥んだ、って事も




今のボクには・・・当たり前みたいに

よく・・・わかる。





ボクは・・・涙さえ浮かべて

形振り構わずに懇願している弟に

見たこともない姿の弟に

リョウキに…向き直って告げた。










『リョウキ・・・それは

約束は・・・・・・できない』






生まれて初めて･･･ボクを頼った弟の


こんなボクを頼るしかなかった弟の




たったひとつの、その願いを

ボクは残酷に・・・退けた







ひどい・・・兄貴だよね









この世にたったひとりの弟がボクに・・・





こんなに必死になって

弟が頼んでいるのにさ・・・。










ボクは・・・・・無力だね。








いつも・・・いつまでも



本当にボクは・・・無力なままだね。