テキストサイズ

カラダからはじまった愛は~season2

第1章 再生

こんなにもゆっくりと夕日を見たのはどれくらいぶりだろう…

最上川沿いの瑠衣の実家の小高い丘から、オレンジ色から黄金色に変わる夕日を十三を抱きしめながら見ていた。

兄に連れ出されて帰って来た。

今ここに一人いることも、これから先、どう進んでどう生きていくのかさえも、何も考えられなかった…

嬉しいのか、悲しいのか、切ないのか、不安なのか、
ただ…涙か溢れてきて、
十三をきつく抱きしめていた。

これから哲さん、絵理に会ってくれるんだね…

ぼんやりとそのことを思っていた。


19日の夜、哲からのメールを夫に見られてしまい、殴られたと同時に包丁を突きつけられた。それから、哲を呼べと言われ出張で東京に行っていた哲さんが、タクシーで福島まで来てくれた。深夜3時の駅前で、慰謝料として弁済契約書に300万と記入させられ、瑠衣にもう会わないと契約書を書かされた。
それが、哲さんとの最後…

そう思った。

夫は執拗な性格だから、私のことも一生許さないだろう。これからも何かにつけて
このことをずっと攻めてくるだろう…。
それでも、

それで哲男さんを守れるなら…

ずっと 愛してる

わずか5ヶ月にも満たないふたりの関係ただったけど、

深く 愛し合った

心から

カラダの全て

全てが

恋しくて 愛しくて 求めあった…

優しくて 激しくて 切ない ふたりの関係

その想い出だけで、生きていこう…

夫に連れてこられた秋田までの道のりでそう思っていた。


だから、秋田に着いてから届いた絵理からのメールに、

『 明日 正敏おじちゃんが 母ちゃんを迎えにいく。』

とあった時、本当にそんなことが出来るの!? と疑心暗鬼だった。

この、常にアタシを縛り付ける夫から、逃げられるの…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ